ペーパースカイ【完結】
「!ちょっ…相川さんこれ……!!」

慌てる彼に、「早く早く」と、カバンにそれをしまわせた。

「これ…どういう意味?」

意味なんか、ないよ。

「本当に大好きな女の子と、それ使ってね」

あたしがそれになれれば、よかったんだけどね。

「あたしねぇ、山中君とつきあえてよかったよ。すっごーく幸せだったよ」

あまりにも短い、恋だったけれど。

「俺…相川さんと別れる気なんてないよ」

「知ってる」

「じゃあなんで?」

「…あたしが、山中君ともう別れる気でいるから」

隣国のお姫様をずっと気にしながら、手もつないでくれない王子様とは、

つきあえないよ。

あたしはあたしの事だけが大好きな、王子様を探してるんだもん。
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