ペーパースカイ【完結】
「相川さん…ほんとにごめん」

「ううん」

「…俺とつきあってくれて、ありがとう」

「…うん」

一回でも瞬きをしたら、きっと泣いてしまうから。

「じゃああたし、帰るね!」

素早くあたしは立ち上がり、駆け出した。

何かを言った山中君の声から、どんどん走って逃げた。

涙が目から飛び出た瞬間、乾いてしまいそうなスピードであたしは逃げた。

どこを目指して走っているのか、どこにも帰りたくないあたし。

ひと気のない狭い道で立ち止まり、止まらない涙をふいた。

その時、カバンの中の携帯が震えた。

「…輪子だ…!」

その場に座り込んで、受信したメールを慌てて開く。

たった二行のメール。

『連絡しないでごめん。今日の夜、会える?

私、陽司と別れちゃった』

「えっ!!?」

思わず声を出してしまったあたしを、通りすがりのお爺さんが

怪訝そうに振り向いていた。

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