ペーパースカイ【完結】
そうしたら、これまた子供の頃みたいに

「大丈夫?」

って、ひょいっと軽々、あたしの身体を起こしてくれたのが一哉君だった。

「だだだだいじょぶです…」

恥ずかしくって顔が熱くなった。

「どうもすみません…」

パンパン、あたしが自分のシャツの埃を払っていたら、

しゃがんだままパンパン、「怪我してない?」と言いながら一哉君は、

あたしのジーパンの埃を払ってくれた。

そしたら。

一哉君の視線が、あたしのリュックの脇についてる名札に止まり、かたまった。

「?…あのー…どしたんですか?」

やっと顔が熱くなくなって来たあたしは、まだかたまってる一哉君に質問した。

「いや、…あの、君さ、歳いくつ?」

「へ?」

ナンパ?

「えっと、二十二歳ですけど」

「えっ!!」

(驚かれるのには、もー慣れてる。あたしはチビだし、童顔だから。

幸太にも言われたもん、「最初見た時、中学生かと思った」って。

中学生が、バイトするかよっ!!)

「じゃあさ、…全然知らなかったらごめんだけど。

…『綿引輪子』さんっていう女の人、知ってる?」

「えっ!!」
< 79 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop