ペーパースカイ【完結】
「ねぇ、苺」

「ふぇっ!?」

急に呼ばれて、びっくりした。くわえてたストロー、ブクって言った。

一瞬あわ立つ、アイスコーヒー。

「なんで一哉と一緒に家まで来たの?」

「え?っとー…あのね、駅んとこでね、会ったの」

「?」

「あたしね、急いで走ってたらコケちゃったの。

そしたら一哉君がね、起こしてくれたの」

今日は午前中は晴れるけど、午後からは曇り時々雨だってテレビで言ってたから。

あたしは急いで帰ってお弁当を二つ作って、冷たいお茶を入れた水筒も作って。

小学校六年生の卒業遠足以来、使ってなかった(使い道がなかった)リュックサックを、

押入れからずるずる引っぱり出した。

そしてそれにお弁当を詰めて、タオルやレジャーシートも詰めて、水筒を持って

天気がいいうちに急いで輪子と出かけよう!!って、ただただその一心で。

全速力で走って走って走ってたら、駅前を通り過ぎる時、

けっこう派手にコケてしまったのだ。

子供の頃みたいに、ズサーーーーーーーーって、地面をすべる勢いで。
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