金色の師弟
二人が何やら話し込む姿を横目に、アデルはやれやれと溜め息を吐いた。
知らぬ間に集まっていた見物客に呆れてしまう。
だが、和気あいあいとしたお国柄はとても好ましい。
(エルク様ももう少しイアン様の人柄を見習ってほしいものだが……)
エルクは生まれてすぐに母を亡くし、僅か四歳で王である父も亡くした。
故に幼き頃から王として厳しく育てられてきた。
エルクは他の兄弟もおらず、必ず王位に着くのだからと、相応の振る舞いを求められて肩肘張った生活を強いられてきたのだ。
それ故、人に厳しく、そしてそれ以上に自分に厳しい。
人としては尊敬出来るがもう少し柔らかさがあってもいいのではないかとアデルは思う。
だが、正義感と民を想う気持ちは強い王である。
少々気性が荒く感情的な面もあるが、王としての器は持っている。
(まぁ、それがあの子のよさだな)
自分よりもずっと年下。
弟子と同じ年頃の王を、アデルは幼き頃から見守っていた。
よくぞ周囲に潰されずに育ってくれたものだと、感動せずにはいられない。