金色の師弟

そういえば、ルイとかいう近衛兵の娘も鈍感らしい。
主人がこれだからか。
エルクは心の中で呟くと、背もたれに全体重を預けた。

「なんとなく、そんな感じがしてたよ。あいつはお前に対して、笑顔が柔らかい」

そうだ、ミーナの笑顔は太陽のように温かい。
見る者を元気にさせる、そんな笑顔。
だが、イアンに向けるそれはどこか柔らかい。
女性特有の柔らかさが、現われていたのだ。

エルクは膝の上で拳を握り締める。
こうなれば、ミーナとデモンドの王弟との婚姻の話はなしになるだろう。
オネスト国にしてみれば、デモンド国を迎え入れるよりも同盟国のメルディ国と併合するほうが安全である。
それは別に、シェーダ国とでもよかったはず。
結局は、ミーナの気持ちなのだ。

「デモンドの王弟なんかよりお前の方がずっといいさ、イアン」

どこか投げ遣りなエルクの声に、イアンは俯いた。
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