環七あやめの遊戯
あやめは考えた。考えに考えた。恐らく今まで生きてきて、ここまで必死に考え抜いた事は、彼にとって無かっただろう。



その時、あやめにとっての運命の構内放送が流れた。



〈…新幹線にご乗車のお客様は、階段を下りてすぐのB通路の方角へ…〉



-新幹線か。そう言えばおじさん、今回は本当に急だったよなあ。



…泣かなくなった、って言っていたけれど、本当にそうだな。もう、それだけ遠い距離じゃ無い証拠さ。おじさんと会う事は、今やリアルな事…

思い出す必要も…-



-ああっ!-



あやめは、これだ!と思った。もう一人、可南子と同じく朧気でしか思い出せない人物が存在した。



〈三番線に、各駅電車、○△行きの電車が参ります…〉



-おじさん!法条さんと同じだ!

ふうん、そうか、そうだったのか、ふうん。



『リアル(現実的)』だからだ!

昔は、おじさんに会いに行きたくても、まだまだ小さいから、俺一人ではまだ、おじさんの家に行く事なんて出来なかった。
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