☆消えてしまったわたしの赤ちゃん☆14歳の妊娠・・・ ~セックスを軽く考えないで~
わたしの目に、再び涙があふれてきた。


わたしは右手で涙を払った。



「あっ・・・、美里ちゃんを泣かせちまったか・・・。」


そう言って、剛はわたしの肩にそっと腕を回すと、わたしを胸に抱き寄せた。


剛の胸で泣くのは、今日これで二回目だ・・・。




夕日が西のかなたに沈むと、わたしたちは再びバイクに乗って、わたしたちの住む街へと帰ることにした。


剛の背中につかまって、風を切って進みながら、わたしは幼い頃の剛のことを、そして剛を生む決断をした剛のお母さんのことを考えていた。


「剛お兄さん、」


わたしは剛の大きな背中に向かって、そっとささやいた。


「わたし、剛お兄さんに会えて、よかった。」


わたしのささやき声は、バイクの音に掻き消されて、剛の耳には届かなかっただろう・・・。


でも別に届かなくてもいい。


面と向かって言うのは、恥ずかしいから・・・。



「美里ちゃん、今何か言った?」


ふいに剛がバイクの音に負けないくらいの大声でたずねた。


「何も言ってないよ!」


わたしは大声で言葉を返した。


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