HERO
「あの、戻れないってどういうことなんですか?さっきは戻れるって」
「ああ、さっきまではね。でも、私は大きな勘違いをしていたようだ。とにかく、私は平のところに行ってくる。君は、ここに待っていてくれ」
「私も行きます!」
「駄目だ!!」
「どうしてですか!?」
「ここが一番安全なんだ。何も知らなかったとはいえ、君をここに連れてきたのは正解だった」
そのまま出て行こうとするお爺さんの腕を掴んだ。
手にすることのできた帰り道への切符が、そのまま消えてしまうことを恐れていた。
振り返ったお爺さんは、私の手を優しく腕から解くと、そのまま手を握りしめた。
「大丈夫。今はそれしか言えないが、待っていてくれ」
その強い眼差しに圧倒され、何も言えないでいる私から手を離すと、お爺さんはそのまま出て行ってしまった。