雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「おまえが嫌がってるように見えなかったんだろう」


 ユイは焦って否定する。


「そ、そんな事ないわよ」


 ロイドは更に目を細めてユイを見つめた。


「そうか? 放心してる時、艶っぽい表情してたぞ」


 目を見開き、一瞬にして頬を真っ赤に染めて、ユイはクルリと背を向けた。


「お茶、淹れてあげる」


 上ずった声でそう告げると、ユイはスタスタと歩き始めた。


 先ほどはロイドの理性を吹き飛ばすほどの、艶っぽい女の顔をしていたくせに、一変して少女のように照れて恥じらうユイがおかしくて、ロイドは思わずクスクス笑った。

< 196 / 374 >

この作品をシェア

pagetop