雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「悪かったわね!」


 一月で三倍にしてやろうかと提案したら、断られた挙げ句に殴られそうになった。

 半分本気だったのだが——。

 ユイは不愉快そうに、小鳥を呼び寄せる。


「もう! 落ち込んでるのかと思って心配して損した。ロイド、おいで!」


 手の平に飛んできた小鳥を見て、ユイが不思議そうに尋ねた。


「そういえばさっき、私、思い切り襲われてた気がするんだけど、この子どうして、あなたの邪魔しなかったの?」


 どうやら自分が、どんな顔をしていたのか分かっていないらしい。

 ロイドは机に片手で頬杖をつくと、横目でユイを見上げて口の端に笑みを浮かべた。

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