雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「このまま何年も王子様が見つからなかったら、私、ジレットと結婚しなきゃならないのかな」


 不安を言い当てられたような気がして、ロイドは内心ギクリとした。
 それを悟られて、ユイまで不安にさせたくない。

 ロイドは心とは裏腹に、穏やかな表情を湛え、抑揚のない声で言う。


「そうなるだろうな」


 ユイは笑顔を引きつらせた。


「だって女同士よ? できるわけないのに、今度は世継ぎが生まれないって問題になるんじゃないの?」


 ロイドは表情を変えることなく、機械的に言う。


「子供なんかどうとでもなる。禁忌のクローン技術を使えばな。殿下の体細胞と遺伝子情報は科学技術局に保管されている。偽者が現れたりした時の科学捜査のためだ。局長のオレが許可すれば利用は可能だ」

< 202 / 374 >

この作品をシェア

pagetop