雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「愛してる、愛してる、愛してる……」(3)

 しばらくの間、二人で見つめ合ったまま、微動だにせず沈黙が続いた。

 困惑に揺れる瞳を見れば、ユイが迷っている事は分かる。
 それがロイドの決意を固めた。

 ロイドは目を逸らし、低くくぐもった声で笑った。


「本気にするな。そんな事をしても、のたれ死ぬだけだ。おまえはちゃんとニッポンに帰してやる。最初にそう言っただろう」

「うん……」


 ユイはホッとしたように返事をした。
 そしてすぐ、思い出したように尋ねた。


「でも、どうやって? 見当がつかないって言ってたじゃない。ついたの?」
「あぁ。遺跡の同期を利用する。おまえのいた場所の座標はわかっているんだ。装置の転送機能を拡張して、逆転送可能にすればいい。同期の最後の一回はおまえを帰すために使う」


 毅然として見上げるロイドに、ユイは身を屈めて詰め寄る。

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