雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「特に何も。あなたと一緒にいられるならば、それでいい。何もしないで、ぼんやり座ってるだけでも」

「それもいいかもな」


 そう言ってロイドは微笑んだ。

 ユイと共に過ごす最後の一日が始まる。

 特に何をするわけでもなく、ロイドの部屋で二人きりの時間を過ごした。

 ソファに座って話をしながら、ふと思い付いた事をする。
 もう一度地下遺跡を見に行ったり、ユイの教えてくれたゲームをしたり、時々キスを交わしたりした。

 ゆったりと流れるなんでもない二人きりの時間が、至福の時のように感じられた。

 やがて夕日が沈む頃、ユイが寂しそうな表情を見せた。

 その様子にロイドは、昨日からの胸のざわめきが、一段と大きくなっていくのを感じた。

< 346 / 374 >

この作品をシェア

pagetop