雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 緑のトンネルに差し掛かった時、ロイドは立ち止まってユイの様子を窺った。

 ユイは俯いて眉間にしわを寄せ、顔を赤くしている。


「おまえ、顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」


 危険な目に遭った緊張感とケガから、熱でも出たのかと心配して尋ねると、ユイは声を荒げてわめいた。


「なんでもないわよ。放っといて!」
「何を怒っているんだ」


 元気はあるようなので、ひとまず安心した。
 歩き始めたものの、何を怒っているのかわからない。

 ゆうべならともかく今は、ユイを怒らせる理由に心当たりがない。

 ゆうべ——。
 それでピンと来た。

 ロイドは再び立ち止まる。
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