雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「そんなにイヤなのか」(3)

「違うわよ! もう、降ろして!」


 わめきながら手足をばたつかせて、ユイは暴れる。
 酷く出血していてケガの具合も分からないのに、歩かせるわけにはいかない。


「暴れるな。落とすぞ」


 そう言ってロイドが腕の力を一瞬緩めると、ユイは反射的にしがみついてきた。


「イヤッ……!」


 抵抗が止んだので、ロイドはユイをしっかりと抱え直す。


「ったく。ケガを増やしたくなければ、おとなしく掴まってろ」


 吐き捨てるようにそう言って、ロイドは再び歩き始めた。
 歩きながら様子を窺うと、ユイはおとなしくなったものの、相変わらず不愉快そうな表情で俯いている。

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