元恋人の甘い痛み【完】

「俺を怒らせた理由、お前が一番よく知ってるんじゃないか？」

「…っ…何を言っているのかさっぱり分からないわ」

「まだシラを切るつもりか」


麗香の顎を掴み強制的に上向かせ、その瞳を覗き込む。


麗香は恐怖心から身体を小さく震わせながら、今にも泣き出しそうな表情で俺を見つめた。


「…や、やめて雷牙。痛いわ」

「痛い？優里が味わった痛みに比べりゃあ、大した事ないだろーが」

「…っ……」

「俺を怒らせた意味、分かったか？自分の口から言ってみろ。言えたら離してやる」


優里はお前に酷い事をされたにも関わらず、俺に告げ口をしなかった。俺が聞いても安易には応えなかった。


その痛みがお前には分かるか？


分からねぇだろーな。