元恋人の甘い痛み【完】


「…雷牙の事好きな人は沢山いる。私なんて居なくったってどうって事ない。皆優しくしてくれる。それで良いじゃない」

「俺は…お前以外の女に興味は無い。確かに来る者拒まずだが、お前の事は特別だと思ってる」

「…説得力無いよ。そんな風に言われても全然説得力無い」

「…そうか」

「今まで、有難う。それと…急に来たりして、御免なさい。これは返すね」


貰った合鍵をポケットから取り出し雷牙へと差し出した。雷牙は合鍵を受け取ると、背を向けて玄関へと歩む。


「…傷付けてすまなかった」

「それでも貴方と居たかったのは私だから、謝らないで。さようなら」


泣きながら雷牙の家を後にした。


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