As Time Goes By ~僕等のかえりみち~






テーブルに並ぶ、豪華な料理。



私の大好きなワンタンのスープ。



この、異様な光景は……?!





「あら。おかえりー、柚!」



「お母さん?!」



いつもより早い帰宅。


客のかきいれ時の土曜日。


キッチンに立つ母と、このきらびやかな(?)料理を目の前に…、違和感は否めない。




「あれ?お店は?!」



「今日はお父さんにお任せ!」



年甲斐にもなくウインク決め込む母親に、



「…誰か誕生日だったっけ?」



最上級のボケで返す。



「違うよ~、柚、あなたが今日頑張るだろうからって、前から結と計画練ってたのよ。聞いたよ~、すっごい演奏したって。」



「結ってば…超ひいき目だし。」



「…全くもう素直じゃないね~!今朝まで眉間にシワばっか寄せてたのはダレ~?」



「……?ん?誰それ。」



「私、柚のこと言ってるんだけど?」



「え。嘘。」


自覚……、なし!



「…やっと解放されたあって顔してるよ、今。スッキリしちゃって!」



「………そう…ですか?」



「ホラホラ、手洗って早く始めよ!」



「………?」



「プチ打ち上げ!」



「……うん。」



何かとこじつけて、パーッとするのが好きなお母さん。


でも今日は……


何だか嬉しそう。




全く…いつの間に、こんな計画を……。




嬉しさ隠せずニヤける私。




「結ーっ!柚帰ってきたよ~!!」




母の呼び声に、結もまた…弾んだ音を響かせて、階段を下りてきた。








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