As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「………。もちろん。」



「うちら二人とも、全く同じ服装で、同じ髪型で、…口を利かなくても?」





中道が。



私と結の区別がつくその理由…。



聞くことができなかったことを……


能戸くんに聞いて、どうしようっていうのだろう。







「……わかるよ。好きだから。」







『好きだから』。







求めていた答えだったのかは……わからないけど。




それでも、今の私には……



十分過ぎるくらいだった。



報われた気さえした。




例え……結と一緒にいても。
どんなに結に似せたって。





中道は、私を『私』だとわかる。


真っ直ぐ目を見て、


『上原』って……


ちょっとだけ、意地悪な目つきで…名前を呼ぶ。








中道が私たち双子を間違えない理由。



それは……



能戸くんと同じではなくとも。






私たち双子のことを、ちゃんと知ってくれているからなんだと……



そう……思いたくなった。






「そういや、中道もアンタ達のことは、間違えねーよな。」



「……そうだね。」



「…よっぽど好きなんだろうね。」



「…結のこと?」



「やめろよ、それだったら本気で望みすらなくなるじゃん。アンタの方だろーよ。」



「………。」



「……アンタは強いから……。だから、あいつも手放した。」



「…………。」



「…アンタには里中もいるし、変な話……、なんかあっても自分で何とかできそうだろ?」



「……買い被りだよ、そんなの。」



「…でも…結は違う。誰かが側で支えてやんないと、立ち上がれないっつーか…、綺麗で一見気も強そうに見えるけど……どっかはかなげなんだよなー。」



「……そっか……。」



「…好きとかどうかじゃないよ。あいつが結ちゃんといたのは。」



「…………!」



「…一人じゃどうにもならない弱い方を…選んだだけ。」



「…………。」



「…選んだ……訳じゃないか。俺が余計なことを言ったから…そうせざるを得なかったのか…。」



「………余計なこと?」



「…結の状況を、あいつに逐一教えていたのは…俺だから。」



「…………。」




「…気になるだろ、そんなこと聞いちゃえば。」




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