As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「………柚。」
佳明の手が……
私の頬に触れる。
「……傷つけるつもりなんてなかった。ごめん…、痛かったよな。」
「…………。」
「…今日話あるって言われた時から……、嫌な予感はしてたんだ。」
「…………。」
「…ホントは、バックレようかと思った。でも……やっぱり気になって気になって仕方なくて……。…で、会いに来たらこんな状況だろ?……冷静になんて、いられなかった。」
「………うん…。…ごめんなさい。」
「…アイツのことで……三井に、脅されたんじゃないのか?」
「…………!」
「……俺には、お前が困ってるように見えた。」
「……………。」
私に……
三井くんを悪者にする資格など……、ない。
「……ううん。」
「………。それは…言えないよな、アイツの為にも。」
「……………。」
佳明……、
本当は気づいて…?
「………けど。俺は別れない。簡単に、負けを認めたくない。」
「………。」
「…馬鹿だよな。さっきの野球のゲームだってさ、つい本気にはなるわ、挙げ句の果てに……俺が自分の打球に気ィとられているうちに……アイツは、勝負なんてとっくに捨てて、柚の所に走ってた。柚を……捕まえていた。……プライドなんてもうどこかにやっちまったんだな。そうさせたのは……、お前だった。野球部にあんなに頭を下げて入部したのも、全部全部……。」
「……………。」
「……諦め悪いのは、俺も同じだ。別れてなんて……やらない。……ましてや、三井……。お前が柚に近づくのは……絶対許さないから。」
「……悪いけど、同じクラスだ。それは…無理がある。」
「俺には、俺のやり方があるんだよ。」
「………ふーん。ま、頑張ってよ。」
「………言われなくても。」
二人はしばし睨み合い……
それから、三井くんはニヤリと不気味に……
笑った。
「……じゃあ俺はこれで。……上原さんに、俺の気持ち伝えられて…良かったよ。……じゃあ、また、月曜日に。」
「…………。」
返事は、返せないまま。
三井くんは……
この場を、去って行った。