As Time Goes By ~僕等のかえりみち~





「残念だったね。」



「足、大丈夫?」




翌日の学校では、そんな同情の声ばっかり掛けられた。




「大丈夫。」、「ありがとう。」。



そんな言葉ばかりを繰り返す。



正直……
かえって辛い。



知らないフリしてもらった方がよっぽど楽なのにな。




そんな事を考えながら、ゆっくりと廊下を歩いていると……




「調子に乗ってるからじゃん、バーカ。」



すれ違い際に、女子の集団からとんだ嫌みを浴びせられた。




「……なに?文句あるならハッキリ言えば?」




私の闘争心に、火がついた。



集団のアタマらしき女が私を睨みつけて……




「ムカつくんだよ、アンタら。男に媚び売ってるからそんなことになんだよ。」



なんだそりゃ。
私がいつ媚びなんて売った?


「…悪いけど…、媚び売る暇も、アンタ達に構ってる暇もないから。」



「……は?」



「怪我がなによ。そんなの治れば…必ず次がある。」



「………。」



悔しそうな面々をぐるっと見渡し……



「…それに、私は個人競技で戦ってるからさ、集団で来られても困る。今度喧嘩売るならサシできてね。」





私はこういうやり方しか知らない。



女の子らしく泣いて許しをこうなんてもっての他で……




強がりの仮面を被った意気地なし。



弱さを人に見せることは……



プライドが許さなかったんだ。





「…ストップ。おまえらもういいだろ。」




そこに現れたのは、一人の救世主……じゃない。



天敵・中道。



「…別にお前に迷惑掛けたわけじゃねーだろ。てか、こいつに何いったって敵うやついねーよ。」



「……中道……。」



「お前も喧嘩っぱやいとこ何とかしろや。」



中道は私の額をペチっと叩いた。



「…じゃ、そういうことで……撤収~!」




奴にされるがまま……



ガッチリと腕を掴まれ、そのまま中道は廊下を進んでいく。




「…中道……?」




そういえば……



いつぶりだろう。



こんな至近距離で中道を見るのは……。




なぜならあの日以来……



二人で一緒に帰ったあの日以来……



全く口を利いてなかった。



避けていたわけではない。


ただいつも私に構ってきた中道が……



それをやめただけ。


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