As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
ふと……、視線の先に。
馴染みの二人の…姿。
互いに見つめ、微笑み合って。
肩を並べて……歩いていた。
「里中くんと…、柚?」
声を掛けようか、しばし悩んで……。
けれど……そのまま何も言わずに見送る。
途端にポン、と肩を叩かれて……
私はこの上ないくらいに、驚き跳びはねた。
「ナニ遠慮なんてしてるの?あの二人、元サヤ戻ったんだ?」
犯人は……三井くん。
「……だったら何?また邪魔でもする気?」
「おーこわ。違うよ、別に。ただあいつ等別れて…ちょうど2年くらいだろ?今更また…、なんて有り得るのかなって。」
「………。どうなんだろうね。」
「…?もしかして…どうなってんのか知らないの?」
「もし知ってても…あなたには言わないかな。」
「……。俺は君達二人には嫌われたもんだなあ……。」
ん?……ああ、そう受け取っちゃったか。
「違うよ。少なくとも今、あなたを嫌う理由は…私にはない。ただ…、柚がどうしようが、私は口を出さないって決めたの。引っ掻き回すような真似は…したくないからね。」
「………。何で?さっき神妙な顔つきで二人を見てたクセに。」
………。
いちいち、その勘の良さを発揮しなくてもいいのに……。
「柚がいいのなら、いい。けど……。」
「ああ、中道ね。」
「……。その名前、封印してるのに…スパッと言わないでくれない?」
「……ごめん。あんた達を引っ掻き回すのが俺はどうやら好きみたい。」
「はあ?ふざけないで!」
「……ふざけてなんか…ないよ。俺は振られたってのに…それでも釘さされてンだから。」
……『釘』?
誰に……?
「どういうこと?」
「どうってそのまま。君の双子の片割れに避けられまくってるさなかに…『柚には絶対手を出すな』ってわざわざ言いに来てさ。」
「……?里中くんが?」
「いや、中道が。……で、その凄んだ直後に行方をくらました。俺にとってはなんだそりゃって感じだろ?どうして別れる女の為にそこまで…って思ったよ。」