Ａｓ Ｔｉｍｅ Ｇｏｅｓ Ｂｙ ～僕等のかえりみち～

そんなの……初めて聞いた。




「何でもっと早く言ってくれなかったの？」



「え。だって、アンタとはほぼ面識なかったし…、あっちの上原には避けられてるし。言うタイミングも何もないじゃん。」




「…………。」



正論……だわ。




「……もう…時効だろ。だから、言ってみた。これを…言う？『柚』に。」




「……！！言わない。」



「引っ掻き回すとわかってるから？」



「…………。そうかもしれない。話して…彼女にプラスになるとも思えないからね。」



「賢明だ。…つまらないなぁ…。」



「………。三井くん、あなた一体何考えて…！」




「…………。」



三井くんは、ほんの少し、考えた素振りして…。




「……これにも時効があったらって正直思うよ。…俺…、中道のことを誤解してた。嫌いなままでいれたら良かったんだけど…、『昔のことは謝るから』って…だから柚にだけは手を出すなって言われたよ。別に奴が悪いなんてこと…なかったのに。知らないままの方が良かったんだ。なのに奴はひたすら頭を下げた。俺は…、その彼女にも、酷いことをしたよ。中道への怨みと、私欲とが上手くコントロールできなかったのかも。だから…そのお詫びに…希望でも与えようかと思って。」



「………。」


三井くんと中道くんが仲たがいしていたことは…




後々、柚から聞いた。



ただ、ボタンを掛け違えたくらいの小さな誤解なのだと…彼女は言っていたっけ。



「二年も経てば…、流石に俺も冷静になるよ。」




そう…かもしれないね。



「……時効…だよ、三井くん。要するに…謝りたかったんでしょう？二人に。」



「…………。」



「……素直じゃないんだから！もっと要領よくできないの？！」



「………。君に言われたくないな。さっきの仕返し？」



「そうかもね。……ねえ、今更…おかしいのかな？」



「……何が？」




「柚が幸せならいいと思っていても…どこかで、まだ……。」



「里中が可哀相だ。」



「…………。」



「……時は…、人を変えるよ。蟠りがあったとしても…、里中と『柚』みたいに、時が解決するかもしれない。俺みたいに…少しは人に素直になれるかもしれない。それに…、上原さん。君みたいに……強くなれるかもしれない。」