As Time Goes By ~僕等のかえりみち~



駅から少し歩いた所に……、


古びたビルがある。





そこには…、中学時代に結に付き合って入った…塾があった。




「テナント…募集。」



けれど、いつの間にか塾の看板は外されて…、真新しい看板が取り付けられていた。




「……潰れたんだぁ…。」



また、思い出がひとつ…


なくなっていた。








そこから斜め向かい側には、小さな商店があって…。


塾の休憩時間に、よくあんまんを食べていた。


私は………


肉まんだったっけ。




そのお店にひょこっと顔を出すと……



歳をとったおばあちゃんが…店頭に顔を出した。




「いらっしゃい。」



「…こんにちは。」



覚えている訳…ないか。





「お姉さんは観光か何かでいらっしゃったの?」



「…え…、イエ。今帰郷してきた所です。」



「あら。ごめんなさいね?垢抜けてるから東京の方だとばかり…。」



「…あはは、光栄です。」




少しは……美容師が板についてきたのかな。



滅多に言われない言葉に…



少し、恥ずかしくなった。




「肉……、イエ、あんまんひとつ…下さい。」







私はおばあちゃんからあんまんを受けとって…、



道中、それを食べながら歩いていく。




「……あんまん…意外においしいな。



新たな…発見だった。









「……まだ時間あるのかな…。」




私はスマフォで時間を確認すると…



律にメールを送った。




律は現在ブライダルエステ中。



その後に……、我が家に来て、明日のヘアアレンジについてを打ち合わせをする。



「…お色直しが2回…。」



想像を…巡らせる。



「うん、綺麗。」




一人でぶつぶつと呟いていると……



通りすがりの少年が、不審者を見るような目つきで私を見ながら…すぐ傍を、通り過ぎていった。




『独り言は心の中でお願いね』



……はい、結。


気をつけます。








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