アルバと風の世界

風の世界

ラキアは、少し考えた様子で、しかしはっきりと
「僕は、夕焼け人ではないんだよ」といいました。

アルバは、わかっていたよという顔で
「うん、気づいていたよ。目の色も髪の色も違うからね。
どこの世界の住人かわかったの?」と聞きました。

ラキアは空色の髪を静かにかきあげながら
空色の瞳でアルバを見つめて
「あ~、うん、風の世界の風人らしい」と
言いました。

「ふうじん?」アルバが復唱します。

「はじめて聞く世界だよ」

「僕もさ。急に手紙を見せられて、手紙の中に
実は、あなたは、風の世界の風人で
風の世界の危機を救う、詩詠人(うたよみびと)です。
ですから、17歳になったら、すぐにお戻りください。
お待ちしています。そのときまでは、われらが
風の世界を守っていきます・・だってさ。簡単に言うと
そんな内容が書かれていたんだ。帰る方法も書かれていたよ。

僕は、ここにきたときは、5歳だっただろ?
うまれた場所のことは、かすかに覚えているんだ。
たぶん両親は殺されたんだ。うん、思い出したくなかったから
忘れようとしていたけれど・・」そこまで言うと
ラキアは、遠い目をして外を眺めています。

アルバは、びっくりして「そんな。じゃあ、風の世界は
混乱しているってこと?ラキアが救世主ってことなのかい?
でも、命を狙われているかもしれないんだろ。」
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