【完】プリンセス

「はいはい、分かったから離れてー。
ってえぇ?
何でまた泣く?」


目にいっぱいの涙をためて俺を見てる。
頼むから勘弁して欲しい。

さきより距離も近いしっ!


「陽呂……私がしないから、何もしてくれないんだぁ」

「はぁ? 何の話?」


泣いてる理由が、洗濯と掃除が出来るの話じゃない事になってるのはわかった。
けど……どう言う意味だ?

何が言いたいんだろう?!


「普通は結婚前にエ……エッチするんでしょ?
だけど、私した事ないから、だからキスもしてくれなくて……陽呂は誰かとしてて」


えっちぃ???


「おい、待て。何で、今そんな話な訳?!」


さっきまで、料理の話だったじゃん?





落ち着かせて聞いた俺は、笑った。
いや、余りにも可愛い発想でさ?


「心菜? 俺は別にいつでもいいから。
お前がしたくなった時でいいからな?
そんな焦ってパンクすんなって」

「本当に? 他の子としない?」


大きな瞳をクリクリ輝かせて迫って聞く。
近過ぎる心菜の肩を両手で押さえ、少し下がった俺は、

「するかっ!
心菜としかしねーってかしたくねーから」


ってハズイわっ!

何を、こんな事、力こめて言ってるんだろ、俺。




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