【完】プリンセス
そして気づいたら抱きしめてた。
もう、ただただ可愛くて……。
すごく、ものすごく愛しくて……。
俺の為に泣いてるの?
俺の為に料理したの?
俺の為にちゃんとしようって思ったの?
俺の奥さんになってくれるの?
「んな、可愛い事ばっか言ってると押し倒すぞ?」
悪戯な笑みで言った俺の言葉に、目を丸くする。
その顔も可愛い。なんて思ってしまう。
「別に……心菜が料理下手でも?
掃除、洗濯出来なくても? 愛想なんてつかさねーから。
お前は俺の側に居ればいいんだから、な?」
心菜の流れる涙を、ペロッと舐める。
まだ真っ赤な頬に溢れ出た涙が零れる。
指で拭ってもキリがない。
「もー泣くなって。
本気で押し倒しそーになっちまうから」
「うぅ~」
それから暫くして泣き止んだ。
今まで下を向いていたのに、泣き止んだら顔をあげたまま……
超見つめられてる。
まじで止めて?
理性飛ぶよ?
目を離そうとしても、どうしても見てしまう瞳。
今度は、俺がうろたえそうになる。
「陽呂~、私……掃除と洗濯は出来る~」
っていきなり涙声で言う事か?
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