【完】プリンセス


「心菜さん? 誰に言ってるんですか?」


何となく聞いてみた。

絶対合わない目を……不思議に思ったから。


「え? ……陽呂に…陽呂によ?」


……こんなちょっとした事で、わかる俺。

心菜の事なんて嫌ってほど、わかる。


誰と何があったんだ?

俺には、言えない事?


なぁ……心菜?





「そーですか。なら、これからどうします?」

「え?」


俺に隠し事をしたからか……。

この気持ちのモヤモヤの意味が分からなくて……少し意地悪をしたんだ。


少し意地悪したつもりだったんだ。





「結婚するんですから、キスも、セックスも普通しますよね? 皆さん、孫の顔楽しみにしてますし?」




やっと合った目。

その大きくなって驚いた目は、俺を睨んだ後に、視線を離した。

そして後に





「最低ー……」





その言葉だけが残った。




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