【完】プリンセス
リレーが終わって俺の出る種目もない。

体育祭中は、教室は立入禁止。



でも、何だか1人になりたくて。

適当な教室を探して床に寝転んだ。



冷たくて気持ちいー……。



俺……何、ムキになって走ったんだろ?

バカみてー。


そんな事を考え、一人で笑ってしまう俺は、キモイ。



心菜にいいとこ見せたかったはずの柏原抜いて……何してんだか。

声援だって、柏原にしてて、たまたま俺にもしただけだろーしな。


俺……マジどーしたの?

んとに、熱でもあんのかな?





―ガラッ


誰も来ないはずの教室のドアが開いた。




先生か???

ビビって上半身だけを起き上がらした俺の目と合う心菜の目。


「あ、居た」

「心菜……さん?」


あまりにも驚いて、そのまま静止する俺の側に、しゃがみ込んだ心菜は笑ってた。


「今日、教室立入禁止なんだけどー?」

「あ……すみません……」


あー生徒会の見回りか。

でも、どこか優しい表情。


「リレーのメンバーが探してけど?」

「え?」


そっか。俺、ゴールしてそのまま、ここに来たもんな。


「さっき……早かったねー」

「あーはい」


何だ?

心菜の口調までも優しい気がする……。

体操服の心菜は、いつもの制服姿と違って……色っぽくない?



って俺、何考えてんだよっ///



相手は、心菜だぞ?

口悪くて、気が強くて!



心菜……だぞ?




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