こうして僕らは、夢を見る
腕時計を見れば【10:23】。本当は10時に来るはずだったのに大幅の遅刻。いますぐにテニスコートに行きたいのは山々だけど――――…






「分からない。」

「は?」

「どっちだったっけ?」





…場所を覚えて居ない。



覚えて居ないと言うよりも校舎が改装されてるし増築されている。ここを私達が卒業してから何年も経っているから昔と同じ筈が無いとは思っていたけど。





「う〜ん、」

「こっちじゃないかしら?」

「そっちは体育館でしょ?」

「あら。そうだった?」

「うん。て言うかココに校舎なんて無かったよね。ココを真っ直ぐ行けばテニスコートの筈だと思うんだけど…」

「なら突っ切る?」

「いやいや!どうやって!?普通に可笑しいでしょ!突っ切るとか無謀だから。校舎あるのに」

「この校舎の向こう側なら校舎の壁を伝って行く?」

「どっちから?左?それとも右?もしかしたら行き止まりかも知れないし」

「………」

「………」




「「………」」




私たちの間に異様な空気が漂う。




こんな事なら司くんに予め聞いて置けば良かったと後悔した。


けどまさか数年でココまで変わり果てるとは思いもしなかった。それは桜子も同じ気持ちだろうな。
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