こうして僕らは、夢を見る
仲良くなってきたんだけどなー…



どう思われてるんだろう。



端から見たら可笑しいよね?



私と鷹見沢さんが腕を組む姿は。




これまで周りの目なんて気にした事がなかったけど翼達がどう思ったのかと考えただけで気が差す。




恋人と呼ぶには歳が掛け離れている。血縁者と呼ぶのにも際疾い。普通ただの知り合いなら腕は組まない。親しい関係だと言うことは一目瞭然。謎が更に妖しい雰囲気を誘う。滅入るよ、ホントに。




先ほどから携帯が震動している。ライトグリーン色のイルミネーションがチカチカと点灯。ライトグリーンは着信の合図。



一向に鳴り止む気配のない携帯を尻目に鷹見沢さんが僅かに笑っている。



着信画面には【涙君】の文字。




涙君?珍しーな。まずこの時間に街に居た事に驚きだ。まぁ高校生だもんね。ましてや男の子。夜遊びが盛んな歳だ。




尚も携帯が震えている。車内には携帯が震動する音が響く。かなり気まずい。




震えているのは携帯か、それとも私の指か。




不意にライトグリーンが消えたのを見計らい指をボタンに宛がう。そして時期に電源が落ちる。電源をOFFにすると画面から光が消え真っ暗になった。




それを確認すると助手席の背もたれに身体を預け、ゆっくりと瞳を閉じた。




このまま眠ってしまいたい。



思考をシャットダウンしたいけど簡単には無理だ。



とてもじゃないけど今は寝れない。思考回路は休む暇なく働いている。蟠りが心を掻き乱す。



グッと唇を噛み締めた私に運転する鷹見沢さんが言う。






「そういえば良いウイスキーがあるんだよ。蕾好みの。年代物で中々手に入らない代物だ」

「朝まで付き合ってくれるの?」

「さあて。どうしようか。蕾は強いからね。私が先に潰れてしまいそうだよ」

「なら大丈夫。今日は泥酔いだから」






いきなりの泥酔い宣言。微かに鷹見沢が笑った。視線を感じたけど私はそれだけ言うと窓に視線を移し気付かない振りをした。




流れ行く景色。




車のスピードに追い付く筈もない。何分も経っている。車では数分で付く場所も脚なら数十分は掛かる。夜の街は危ないからさっさと帰っている事を祈る。走らせている私が言えた事じゃないけど。




遊びたい年頃だから夜の街を徘徊したい気持ちも解る。なら車を追い掛けず高校生は高校生らしくゲーセンに行けばいい。トレーニングじゃないんだから。ただ車を追い掛けるなんて楽しくないよ。




時間を無駄にしちゃ駄目だよ。君達は遊技。私は酒。私はもの凄く酒が呑みたい気分だ。酔って総てを忘れ去りたい。








星が見えない都会。



この街で私が今晩、どっぷりと酒に溺れる数時間前の出来事。



いつの間にかクーラーが利き過ぎで車内は寒かった。そして私の心は凍えるように冷たかった。










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