Secret Lover's Night 【連載版】
最後に改めて吉村に向き直り、一つ大きく息を吸って言葉を押し出した。
「吉村さん、あの…僕何て言うたらええのか…」
「どうぞそのまま、思うまま言うてください」
「ほな、お言葉に甘えて言わせてもらいます」
大きく息を吸い、そして吐き出す。二度ほどそれをして、漸く躊躇っていた言葉が出た。
「俺、何て言うか…正直よくわからんかったんです、自分でも。でも、一緒に暮らしてて、段々と自分が変わってくのがわかって…それが嬉しかったし、幸せやと思ったんです」
ゆっくりと、自分の想いを噛みしめるように言葉にする。
「俺、千彩に惚れてます。ちゃんと責任持ちますんで、どうかこのまま一緒に暮らさしてください。お願いします」
深々と頭を下げ、掛かるだろう言葉を待つ。けれど、暫く待ってみても何の音沙汰もなくて。不信に思い顔を上げると、目の前の吉村が、それはそれは盛大に顔を歪ませ泣いていた。
「吉村…さん?」
「いや…すんません。どうもこう…何て言うか…」
「すみません。可愛いがって育ててきたってのはわかってるんです。でも俺、あいつと離れたくないんです。どうしても傍に置いておきたいんです。ちゃんと生活の面倒はみますし、責任持ちますんで。どうかお願いします」
「いやー…何て言うか…娘を嫁にやるような思いで…何ともこう…嬉しいやら寂しいやらで…」
そのまま言葉を詰まらせた吉村の表情は、どこからどう見ても立派に父親のそれで。結婚の申し込みをしているつもりではないのだけれど、「責任を持つ」と言った手前否定も出来ない。
それに、両脇にいる友人がそれを許してはくれないだろう。特に片方は、自分に「結婚」を勧めている人物なのだから。
ズッと鼻を啜る吉村が、ふと視線を泳がせる。それを追うと、待ち焦がれていた姿が見えた。
「千彩っ」
思わずガタンと立ち上がり、その声に駆け寄って来る愛しさを抱き留めた。ギュッと抱き締め、温もりを確認する。そうするだけで、いとも簡単に晴人の気分は落ち着くのだ。自分でも不思議で仕方がない。
「はるぅ」
「な?ちゃんと約束通り迎えに来たやろ?」
「うん」
「何泣いてんの?」
「はるぅ」
「大好きやから泣かんといて。な?」
こうして千彩がぐずる度、抱き締めて大好きだと伝えてきた。瞼にキスを落とし、スリスリと頬を寄せる。それもいつものことだ。甘えた千彩を引き離すのは少し骨が折れるけれど、それさえも愛おしいと思う。
「ちさ、はると一緒におってもいい?」
「ええよ」
「はるのこと大好きでいてもいい?」
「当たり前やろ」
「おにーさまいいって言った?」
「それは…」
チラリと振り返ると、涙を拭いた吉村が手招きをして千彩を呼び寄せる。それに応じるように促し、千彩を吉村の隣へと座らせた。
「吉村さん、あの…僕何て言うたらええのか…」
「どうぞそのまま、思うまま言うてください」
「ほな、お言葉に甘えて言わせてもらいます」
大きく息を吸い、そして吐き出す。二度ほどそれをして、漸く躊躇っていた言葉が出た。
「俺、何て言うか…正直よくわからんかったんです、自分でも。でも、一緒に暮らしてて、段々と自分が変わってくのがわかって…それが嬉しかったし、幸せやと思ったんです」
ゆっくりと、自分の想いを噛みしめるように言葉にする。
「俺、千彩に惚れてます。ちゃんと責任持ちますんで、どうかこのまま一緒に暮らさしてください。お願いします」
深々と頭を下げ、掛かるだろう言葉を待つ。けれど、暫く待ってみても何の音沙汰もなくて。不信に思い顔を上げると、目の前の吉村が、それはそれは盛大に顔を歪ませ泣いていた。
「吉村…さん?」
「いや…すんません。どうもこう…何て言うか…」
「すみません。可愛いがって育ててきたってのはわかってるんです。でも俺、あいつと離れたくないんです。どうしても傍に置いておきたいんです。ちゃんと生活の面倒はみますし、責任持ちますんで。どうかお願いします」
「いやー…何て言うか…娘を嫁にやるような思いで…何ともこう…嬉しいやら寂しいやらで…」
そのまま言葉を詰まらせた吉村の表情は、どこからどう見ても立派に父親のそれで。結婚の申し込みをしているつもりではないのだけれど、「責任を持つ」と言った手前否定も出来ない。
それに、両脇にいる友人がそれを許してはくれないだろう。特に片方は、自分に「結婚」を勧めている人物なのだから。
ズッと鼻を啜る吉村が、ふと視線を泳がせる。それを追うと、待ち焦がれていた姿が見えた。
「千彩っ」
思わずガタンと立ち上がり、その声に駆け寄って来る愛しさを抱き留めた。ギュッと抱き締め、温もりを確認する。そうするだけで、いとも簡単に晴人の気分は落ち着くのだ。自分でも不思議で仕方がない。
「はるぅ」
「な?ちゃんと約束通り迎えに来たやろ?」
「うん」
「何泣いてんの?」
「はるぅ」
「大好きやから泣かんといて。な?」
こうして千彩がぐずる度、抱き締めて大好きだと伝えてきた。瞼にキスを落とし、スリスリと頬を寄せる。それもいつものことだ。甘えた千彩を引き離すのは少し骨が折れるけれど、それさえも愛おしいと思う。
「ちさ、はると一緒におってもいい?」
「ええよ」
「はるのこと大好きでいてもいい?」
「当たり前やろ」
「おにーさまいいって言った?」
「それは…」
チラリと振り返ると、涙を拭いた吉村が手招きをして千彩を呼び寄せる。それに応じるように促し、千彩を吉村の隣へと座らせた。