Secret Lover's Night 【連載版】
じわじわと侵食してくる心の倦怠感が、心臓を中心に全身へと広がる感じさえする。
鈍い頭痛に顔を顰めると、ギュッとTシャツの裾が引かれ下方から小さな声が聞こえた。
「おにーちゃん」
「ん?あぁ、さっきの」
「これ」
「どしたん?これ」
「ままがかってくれた」
「良かったやん」
「ひとつあげる」
「俺に…くれるん?」
「うん。あげる」
「そっかー。ありがとう」
「ばいばーい」
「バイバイ」
少女が差し出したのは、出掛けに千彩が見入っていたアニメの主人公がパッケージに描かれたプリンで。苦笑いでそれを受け取ると、満面の笑みで大きく手を振る少女に手を振り返し、少し離れた場所でその様子を見ていた母親に晴はペコリと頭を下げた。
ご丁寧に店のシールが貼られているところをみると、あの小さな少女が懸命に母親に説明したのだろう。その姿を思い描くと、自然と頬が緩む。
それが出掛けに見た千彩の姿と重なって。手早くスーパーの中を回ると、足早に岐路についた。
扉を開くと、「おかえりー!」と駆けて来る姿がある。
それだけで、もう十分に心は温まって。擦り寄ってくる頭を撫でながら、大人の憂欝をため息に変えて吐き出した。
鈍い頭痛に顔を顰めると、ギュッとTシャツの裾が引かれ下方から小さな声が聞こえた。
「おにーちゃん」
「ん?あぁ、さっきの」
「これ」
「どしたん?これ」
「ままがかってくれた」
「良かったやん」
「ひとつあげる」
「俺に…くれるん?」
「うん。あげる」
「そっかー。ありがとう」
「ばいばーい」
「バイバイ」
少女が差し出したのは、出掛けに千彩が見入っていたアニメの主人公がパッケージに描かれたプリンで。苦笑いでそれを受け取ると、満面の笑みで大きく手を振る少女に手を振り返し、少し離れた場所でその様子を見ていた母親に晴はペコリと頭を下げた。
ご丁寧に店のシールが貼られているところをみると、あの小さな少女が懸命に母親に説明したのだろう。その姿を思い描くと、自然と頬が緩む。
それが出掛けに見た千彩の姿と重なって。手早くスーパーの中を回ると、足早に岐路についた。
扉を開くと、「おかえりー!」と駆けて来る姿がある。
それだけで、もう十分に心は温まって。擦り寄ってくる頭を撫でながら、大人の憂欝をため息に変えて吐き出した。