Secret Lover's Night 【連載版】
Chapter 3 ハルイロ

 誘惑は薔薇の香り

いつものように晴人を見送り大のお気に入りのアニメを見終えた千彩は、まだ少しホットミルクが残ったマグカップをシンクに持って行き、よし!と腕まくりをした。


「これが終わったらお洗濯干してー、お掃除!」


誰もいない部屋で、アニメの主題歌をBGMにうきうきと洗い物を始める千彩。晴人の元へ戻ってふた月と少し。一人で留守番をすることにも慣れてきた。


売れっ子のくせにまるでサラリーマンのような時間帯でスケジュールを組む晴人は、週に一度の休日以外は夕方までは戻ってこない。

時々休日がズレた恵介やメーシー、妊娠中のため仕事をセーブしているマリが遊びに来るのだけれど、やはりチームということで彼らのスケジュールも晴人と似たり寄ったりで。無理に遊んでくれとも言えず、一人で時間を持て余していたのがつい数週間前のこと。


「もう寂しくないもんね!」


洗い物を終え、千彩はカラカラとリビングの窓を開ける。柔らかな春の日差しと風に、うぅんと大きく背伸びをして両手を広げた。


「さっ、さっ。お洗濯ーっと」


終了を告げるアラームに、くるりと向きを変えて洗濯機を目指す。

今年の初めに引っ越したというマンションは、出会った時に晴人が住んでいたマンションより部屋数が一つ多い。リビングもキッチンも以前よりは広く、遠いな…と思いながらも千彩はカゴいっぱいの洗濯物を持ってバルコニーへと戻った。
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