Secret Lover's Night 【連載版】
「ああゆうのが好きだったんだ。意外」
「ああゆうのって?」
「俺はてっきり、王子はリエちゃんみたいな綺麗系が好きなのかと思ってた」
「リエ…なぁ」
「まっ、王子は来る者拒まずだしねー」
はははっ。と笑うメーシーに、眉根を寄せたのは恵介で。電話でのやり取りから、ついさっき別れ話を済ませただろうことを悟っていた恵介は気が気ではなかった。
こんな風に荒れている理由も、恐らくはそこにあるのだから。
「別れたって?沙織ちゃんが言ってた」
「おぉ」
「姫がいるから?」
「さぁ…どうやろ」
「あの子、王子の何?」
「そうやなぁ…」
言いかけて、そこで言葉が詰まる。あの時もそうだった。
あの時呑み込んだはずの言葉が、喉元につかえたままになっていて。
その苦しさ耐え兼ね、こうして散々酒を煽っている。
「お前さ、ちーちゃんどうすんの?」
「いや、だから…」
「そうやなくてさ。俺のもんや言うてたけど、ほんまにそうする気なん?」
改めて問われると、どうとも返事がし難い。曖昧なままで過ごせるならば、是非ともそうしたいところだ。卑怯かもしれないけれど。
「俺のもんってさ、もう姫とヤッちゃったってこと?」
「いやいや、メーシー。晴人やで?考えたらわかるやん」
「どうゆう意味や、それは」
持っていたペットボトルでバシンと頭を叩き、それを大袈裟に痛がる恵介の頬を抓る。
「手なんか出してないわ、阿呆めが」
「うわっ。ますます意外」
「どうゆう意味や、メーシー」
声に怒気を含ませるも、あははと笑うメーシーにかわされて。酷い奴らだ!と言いたくもなるけれど、今まで自分がやってきたことを思えばそれを言えないのが事実。
来る者拒まずの晴人は、求められれば簡単に女を抱いた。そして、それら全てに容易に「恋人」という肩書を与えてきたものだから、コロコロと服を着せかえるように恋人が変わるのも必然。
誰もそれを咎めはしなかったし、晴人自身も「二股をかけないだけまだマシだ」と、自分の軽薄さを正当化させていた。
「王子って、何か…もっとかるーいイメージなわけ、俺の中では」
「失礼な」
「あれだけ女コロコロ変えてたら、そりゃ言われるだろ?」
「まぁ…そうかもなぁ」
「いやいや、晴人。そこは否定しようや」
「んー?別にええよ。事実やし」
反対側に陣取った恵介に、空になったペットボトルを押し付ける。それを受け取った恵介が、ごそごそと袋を漁って新しいペットボトルを手渡してくれるけれど、もう飲ませない!と言わんばかりに、新たに手渡されたものもミネラルウォーターだった。
「ああゆうのって?」
「俺はてっきり、王子はリエちゃんみたいな綺麗系が好きなのかと思ってた」
「リエ…なぁ」
「まっ、王子は来る者拒まずだしねー」
はははっ。と笑うメーシーに、眉根を寄せたのは恵介で。電話でのやり取りから、ついさっき別れ話を済ませただろうことを悟っていた恵介は気が気ではなかった。
こんな風に荒れている理由も、恐らくはそこにあるのだから。
「別れたって?沙織ちゃんが言ってた」
「おぉ」
「姫がいるから?」
「さぁ…どうやろ」
「あの子、王子の何?」
「そうやなぁ…」
言いかけて、そこで言葉が詰まる。あの時もそうだった。
あの時呑み込んだはずの言葉が、喉元につかえたままになっていて。
その苦しさ耐え兼ね、こうして散々酒を煽っている。
「お前さ、ちーちゃんどうすんの?」
「いや、だから…」
「そうやなくてさ。俺のもんや言うてたけど、ほんまにそうする気なん?」
改めて問われると、どうとも返事がし難い。曖昧なままで過ごせるならば、是非ともそうしたいところだ。卑怯かもしれないけれど。
「俺のもんってさ、もう姫とヤッちゃったってこと?」
「いやいや、メーシー。晴人やで?考えたらわかるやん」
「どうゆう意味や、それは」
持っていたペットボトルでバシンと頭を叩き、それを大袈裟に痛がる恵介の頬を抓る。
「手なんか出してないわ、阿呆めが」
「うわっ。ますます意外」
「どうゆう意味や、メーシー」
声に怒気を含ませるも、あははと笑うメーシーにかわされて。酷い奴らだ!と言いたくもなるけれど、今まで自分がやってきたことを思えばそれを言えないのが事実。
来る者拒まずの晴人は、求められれば簡単に女を抱いた。そして、それら全てに容易に「恋人」という肩書を与えてきたものだから、コロコロと服を着せかえるように恋人が変わるのも必然。
誰もそれを咎めはしなかったし、晴人自身も「二股をかけないだけまだマシだ」と、自分の軽薄さを正当化させていた。
「王子って、何か…もっとかるーいイメージなわけ、俺の中では」
「失礼な」
「あれだけ女コロコロ変えてたら、そりゃ言われるだろ?」
「まぁ…そうかもなぁ」
「いやいや、晴人。そこは否定しようや」
「んー?別にええよ。事実やし」
反対側に陣取った恵介に、空になったペットボトルを押し付ける。それを受け取った恵介が、ごそごそと袋を漁って新しいペットボトルを手渡してくれるけれど、もう飲ませない!と言わんばかりに、新たに手渡されたものもミネラルウォーターだった。