Secret Lover's Night 【連載版】
ペタペタと聞き慣れた足音が近付いて来る。座り込んだままチラリと視線だけをそちらに向けていると、探し求めていた人物が漸く姿を現した。

「けーちゃーん。髪が濡れたー」
「あらー、ちーちゃん。そんな格好してたらまた晴人に叱られるでー?」

シャワーを浴びて戻って来た千彩は、何とも潔い姿をしていて。

下は履いているものの、布の面積よりもはるかに白い肌を晒している面積の方が多い。肩から掛けたタオルも、本当に引っ掛けているだけで。その下で揺れる膨らみを隠そうともしていない千彩に、あははーと恵介が陽気に笑った。

「あぁ!もうっ!」
「ほらほらー。晴人怒ってるわー」
「はるー?怒ってるん?」

同じようにしゃがみ込んだ千彩からタオルを奪い取り、乱暴に胸元に巻き付ける。不安げな表情で擦り寄って来ようとする千彩の額をペチンと叩き、ぷにっと片方だけ頬を抓んで晴人は問い掛けた。

「ちぃ、パジャマは?」
「汚れた」
「何で?何をしたらシャワー浴びなあかんほど汚れんの?」
「ジュース零れた。ごめんね?」
「は?ジュース?」

その言葉に、はぁぁっと晴人は脱力する。妙な言い回しをしやがって!と、しゅんと項垂れた千彩の頭を撫でながら恵介を睨み付けた。

「え?俺?」
「…お前以外に誰がおるんや」
「えー?勝手に勘違いして妬いたんは晴人やろー?」

図星を突かれ、それ以上言葉を続けられなくなる。それを誤魔化すために千彩を抱き寄せると、頬を寄せ「ごめんな?」と囁いた。

すると、くすんと鼻を鳴らした千彩が首元に絡み付く。

「よしよし。俺が悪かった。ごめん、ごめん」
「あーあ。また泣かした」
「はるぅ」
「ごめん、ごめん。服着よか?」
「…うん」

そのまま立ち上がらせ、ぐずぐずと離れようとしない千彩を横抱きに抱える。途端にパァッと千彩の目が輝き始めた。

「お姫様みたい!」
「お?あぁ、せやな」

こうゆう時ばかりは、千彩の幼さも助かるというもので。ふわりと浮いた自分の体に喜ぶ千彩をベッドルームまで運び、そっとベッドに下ろした。
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