Secret Lover's Night 【連載版】

 嫉妬、ヤキモチ、恋心

目が覚めると、そこにあるはずの温もりが無い。

慌てて体を起こした晴人を襲ったのは、鈍い頭痛と景色の歪みだった。


「…ったぁ。飲み過ぎた」


ドクン、ドクンと打つ頭を抱えながら視線だけで部屋を見渡すけれど、どこにも千彩の姿は無くて。ゆっくりとベッドから降りると、そのままリビングへと続くガラス扉を滑らせた。

「おー!おはよー」
「…おぉ」
「二日酔いやろー。ほれ、水」
「サンキュ」

いつもならば自分が立っているはずのその場所に、今朝は友人の姿がある。ご丁寧にエプロンまで着けたその姿を見ながら、ガシガシと頭を掻いて差し出されたグラスの中身を飲み干した。

「恵介、ちぃは?」
「ん?シャワー」
「は?シャワー?」

思わず眉根を寄せた晴人に、フライ返しを持ったままの恵介が悪戯な笑みを見せた。

「汚れてもたからなー」
「は?」

何をしたんや…と、とうとう座り込んで頭を抱えた晴人。その姿を見て、キッチンの中の恵介がプッと噴き出す。

「何や、その笑いは」
「おーおー。二日酔いやからか?いつものキレがないなー」
「喧しい。ちゃんと説明せぇ」
「何かなー?」
「あいつに何したんや」
「さーなー?」
「恵介っ!」

思わず怒鳴り声を上げて、ズキンと痛む頭を再び抱える羽目になる晴人。そんな哀れな晴人の肩をポンポンと叩き、「大人しくしとけってー」と笑う恵介。

賑やかな朝が始まった。
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