Secret Lover's Night 【連載版】
それに、自分は千彩を気に入っているのだ。
自分が仕事で使う決して安値では買えない仕事道具を、スキンケア用品から一式分け与えてしまうほどに。
おまけに、ご丁寧に指導までしてやった。そんなお気に入りの姫を見下されれば、イヤミの一つも言いたくなる。
ふぅーっと息を吐いて、メーシーは面倒くさそうに言葉を吐き出す。
「何?あんなガキより私の方が綺麗だって?」
「ちがっ…」
「リエちゃんさ、見た目は綺麗でも、ここがダメなんじゃない?」
自分の胸元を指差し、更に続ける。
「俺さ、王子に色々聞いてんだよね。ほら、俺ら飲み仲間だから?」
メーシーと晴人が飲み仲間なのは事実だ。実際時間を見付けては、二人、ないしは恵介も交えての三人でよく飲みに出掛ける。
けれど、色々と…は嘘だ。元々自分のことはあまり話したがらない晴人の口からは、女の愚痴など聞いたことがない。
「姫はさ、ここの綺麗な子だったよ?ただ純粋に王子が大好きーって感じでさ」
歳を重ねて行けば、誰しもが段々と見栄や体裁など、そんな煩わしいものに囚われがちになってしまう。けれど、まだ幼さが十分に残る千彩には、それが一切感じられなかった。
ただ純粋に晴人が好きで。
だから真っ直ぐに想いを向けていて。
向けられている側の晴人が「煩わしいものに囚われる大人」なだけに尻込みしている感はあるけれど、それでもメーシーの目には晴人もそれに必死に応えようとしているように見えた。
いや、寧ろ晴人の方が想いは強いかもしれない、と。
「しんどいって…言われたの。そうゆうの、もうしんどいって。私…晴を誰にも盗られたくなかったの…」
「自分が、前の彼女から奪っちゃったから?」
「それは…」
電車の乗り換えの如く女を乗り換える晴人と付き合うということは、つまりはそういうことで。きっと前の彼女もそう思ってたんじゃない?と付け足すと、一度は止まっていた涙がまた溢れ出した。
あーあ。と思う。もうそれ以外に思うことがない。
要は自分勝手な想いなのだ。自分がしたことが返ってきただけなのに、ジメジメ、メソメソと泣き続けて。運悪く恵介がすぐに出てしまったものだから、面倒な役回りが自分に回ってきた。
そんな不運な自分に対しての「あーあ」だ。
自分が仕事で使う決して安値では買えない仕事道具を、スキンケア用品から一式分け与えてしまうほどに。
おまけに、ご丁寧に指導までしてやった。そんなお気に入りの姫を見下されれば、イヤミの一つも言いたくなる。
ふぅーっと息を吐いて、メーシーは面倒くさそうに言葉を吐き出す。
「何?あんなガキより私の方が綺麗だって?」
「ちがっ…」
「リエちゃんさ、見た目は綺麗でも、ここがダメなんじゃない?」
自分の胸元を指差し、更に続ける。
「俺さ、王子に色々聞いてんだよね。ほら、俺ら飲み仲間だから?」
メーシーと晴人が飲み仲間なのは事実だ。実際時間を見付けては、二人、ないしは恵介も交えての三人でよく飲みに出掛ける。
けれど、色々と…は嘘だ。元々自分のことはあまり話したがらない晴人の口からは、女の愚痴など聞いたことがない。
「姫はさ、ここの綺麗な子だったよ?ただ純粋に王子が大好きーって感じでさ」
歳を重ねて行けば、誰しもが段々と見栄や体裁など、そんな煩わしいものに囚われがちになってしまう。けれど、まだ幼さが十分に残る千彩には、それが一切感じられなかった。
ただ純粋に晴人が好きで。
だから真っ直ぐに想いを向けていて。
向けられている側の晴人が「煩わしいものに囚われる大人」なだけに尻込みしている感はあるけれど、それでもメーシーの目には晴人もそれに必死に応えようとしているように見えた。
いや、寧ろ晴人の方が想いは強いかもしれない、と。
「しんどいって…言われたの。そうゆうの、もうしんどいって。私…晴を誰にも盗られたくなかったの…」
「自分が、前の彼女から奪っちゃったから?」
「それは…」
電車の乗り換えの如く女を乗り換える晴人と付き合うということは、つまりはそういうことで。きっと前の彼女もそう思ってたんじゃない?と付け足すと、一度は止まっていた涙がまた溢れ出した。
あーあ。と思う。もうそれ以外に思うことがない。
要は自分勝手な想いなのだ。自分がしたことが返ってきただけなのに、ジメジメ、メソメソと泣き続けて。運悪く恵介がすぐに出てしまったものだから、面倒な役回りが自分に回ってきた。
そんな不運な自分に対しての「あーあ」だ。