月光


お母さんもお父さんも顔立ちが整っているお陰で、私達は幼い頃から "美男美女" と言われて可愛がられてきた。自分ではよく分からないけれど、聖は確かに綺麗な顔をしているといつも思ってた。


聖は元気な性格で人懐っこくて正義感の強い、私にとってはいつでもヒーローでまるで太陽の様な存在だった。

対照的に私は内気で人見知り、いつも聖の背中にくっついて歩いていた。聖が連れ出してくれなければ外に出る事も少なかっただろう。

幼いながらに私は 自分はまるで月の様な存在だと思っていた。


太陽、聖が居ないと輝けない。
私一人では誰にも見てもらえない。


でも、例えそうだとしても私は構わなかった。聖の傍に、聖の支えになれればそれで良い。ただそれだけだった。


ただ、それだけだった。
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