私の恋人は布団です。
4.冬の訪れ
隆也は,珍しく延のベッドの上に居た。
(今日は……ちゃんと言わないと駄目だよなぁ……)
考えを巡らせる内に,どんどん暗い方向に向ってしまい,既に隆也は布団に戻りかけていた。
(……俺が布団に戻ったら……延さんは,どう思うだろう)
先刻から,何度も思ってはかき消そうとするが,どうしても頭から離れてくれない。
(やっぱり,俺には無理だったのかもしれない……)
諦めて押入れに戻るために,人間に戻ろうと集中していると,枕元に人影が現れた。
「おおーい。若人よ」
男は,光沢のあるラインが煌びやかなスーツを身につけている。
重ねられた豪奢なアクセサリーも見劣りしないほど,整った派手目の顔の造り。
それは,枕神であるアキラだった。
「折角格好良くしてやったのに,何で布団になっちゃうかなぁ」
「はぁ……済みません……」