カタチのないセカイの為に
お店を出ると、お店の前まで一緒だった優潤と健吾の姿が見えない。


美咲は、辺りを見回した。
やっぱり、いない…。

理子は、
携帯を片手に持ち健吾に電話を掛け始めた。

「お掛けになった電話番号は、
現在使われておりません。
もう一度………。ピッ。」

理子は、発信履歴を確認して、首を傾げた。

「あれ？優潤の電話番号。間違えたかなぁ？」


発信履歴は、
『ゆうじゅん』としっかり出ている。

理子は、首を傾げながら、呟いた。
「優潤の携帯、使われてないわ…。
この間までは、
この番号で繋がっていたはずなのに…。」

理子は、健吾の携帯番号を検索し始める。


その時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「理子ぉ、美咲ぁ、こっちこっち!!」

声のする方を見渡すと、
健吾が大きく片手を振っている。


美咲と理子は安心して、健吾の方に近寄って行った。
「何処行ったかと思っちゃったわ。」

「ごめんごめん。あいつ、漬物買ってくんだって。」
健吾の指の先には、優潤が真剣に試食している姿がある。

美咲は、店内を見回している。
「私も、見てきていいかなぁ？」

理子は、微笑すると
「いいわよ。」
と応えた。


< 86 / 248 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop