奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
「よっ!」



空中で寝そべったまま片手を上げる春ちゃん。


久しぶりの光景にホッとした。



「いつ戻ってきたのよ」



嬉しいくせに、ついつっけんどんな言い方になってしまう。


可愛さの欠片もない。



「気付いたらここにいた」

「ふぅん……」

「桃花の彼氏は?」

「仕事中だったみたいで、急いで戻って行ったよ。 一応病院に行くようには伝えた」



沈黙が流れる。


春ちゃんとの沈黙は嫌な気がしない。


自然と言うか何と言うか……苦ではない。


荷物を置き、ジャケットをハンガーに掛けた。



「着替えるから出て行ってよ」

「文美の貧相な身体見ても何とも思わねぇよ」

「そういう問題じゃないでしょ!? ほんっと無神経!! いいって言うまでドアの外にいて」



春ちゃんは面倒臭そうな顔をすると、ドアの向こうへと姿を消した。


ムカつく。


でも春ちゃんとのこういうやり取りは嫌いじゃない。


嫌いじゃないどころか、好きとさえ思う。


胸の奥がドキドキ、そしてポカポカする。


この心が満たされる感覚を……甘酸っぱい感覚を私は知ってる。


もう、半ば諦めていた感情。


認めたくないけど、認めざる得ない……私は春ちゃんに恋してる。





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