奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
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日下部さんには元カレと会った出来事は一切話さずに、気分が悪いという理由で話を通した。


嘘ついてるから、体調なんて全く悪くないのに『顔色が悪い』と真剣に心配された。


あんな事になれば顔色ぐらい悪くなるでしょ。


今日はもう解散しようという事になり、私は家まで送ってもらった。



「ただいまぁ」



ーバタバタバタバタ!!


っ!?


母聖子が二階からすんごい勢いで降りてきた。



「もう帰ってきたの!? 失敗したの!?」



お母さんの頭の中は謎過ぎる。


そもそも映画に行ったことが失敗だった。



「気分が悪いから帰ってきたの」

「今晩は食べられちゃう……じゃなくて、食べてくるものだと思ってたから、文美の分の夕食用意してないわよ!?」



食べられちゃうって……娘が食べられちゃってもいいの!?


突っ込む気力も湧かない。



「お腹空いたら適当作って食べるからいいよ」



お母さんの横を通り過ぎ、階段を登った。



「グズグズしてると干からびちゃうわよぉー!! 潤ってる内に食べられちゃいなさいよぉー!!」



背中にグサグサと突き刺さるお母さんの言霊。


大きなお世話!!


今の美容業界は進んでんだから!!


いつまでも私はプリップリのツルッツルなんだから!!


私は自分の部屋に駆け込んだ。





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