奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
仕事帰りにやってきたお店は、イヴの日に連れて来てもらった、日下部さんのお友達のお店だった。


席につくなりワイングラスがテーブルに置かれ、赤ワインが注がれた。


グラスを合わせると赤ワインが揺れ動き、口元に持ってくると微かに香りが舞う。



「やっぱり素敵なお店ですね」

「そう言ってもらえると俺も嬉しいよ。 それより、もう身体は大丈夫?」

「はい、あの時は助けてくれて有難うございました」

「いや、俺は何も……覚えてないなんて情けないよね」

「そんな事ないですよ。 私だってパニックでよく覚えてませんから」



襲われた事よりも、春ちゃんがいなくなってしまったことの方が私に大打撃を与えた。


怖かった筈なのに、それ以上に悲しみが強かった。



「コース料理を頼んだんだけどよかったかな?」

「勿論です」



今でも春ちゃんの事が頭から離れない。


夢に見る。


春ちゃんがいなくなってから、心なしか春美ちゃんの元気がない。





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