『主夫』だって『恋』してますけど何か?


「でも、私は和樹君の方が優には
似合ってると思ってるのよ。」

カイトにかかった水を拭き終わった時
瑠美さんは言った。


「・・・・あんな格好いい人と
比べないで下さいよ。
これでも僕、結構へこんでるんで。」


だって・・・・・もしかしたら
今も二人は関係を
持っているのかもしれないんだ。



「どうして〜?
和樹君も格好いいわよ。
肇君は別格ね!
比べてなんかないわ♪」


余計、傷つきますが。



「僕、最近自信ないんですよ。
優さんが、僕と一緒にいるのは
主夫させる為だけ
なんじゃないかって。

優さんの事は本当に好きです。
愛してます。

でも優さんは・・・・・
一緒に過ごしてきた5年間
僕の事なんて何とも思って
いなかったんじゃないかって。

だから、婚姻届お願いしても
サインしてくれないんですよ。」



優さんの母親に
こんな事言うなんて・・・・


情けないな俺。



「和樹君、優が婚姻届を
出さないのは、離婚届を置いて
出ていった父親を覚えているからよ。

正直いきなり、マリン産んでから
報告された時には
驚いたし、怒ったわ。

和樹君の子供じゃないって言うし
婚姻届けも出さないって言うんだから。」


そりゃそうですよね。

うちの親もビックリしてたよ。



「でもね、あの子が言ったのよ。
和樹君を紙で縛りたくないんだって。

若いのに他人の子供を育てるなんて
出来るわけないから、いつでも
和樹君が出ていけるように
婚姻届は出さないって。

伝わらないとは思ってたけど
優なりの・・・・
和樹君への優しさなのよ。

でも和樹君は逃げたりしなかった。

私は和樹君に感謝してるし
優には、和樹君しかいないと思ってるわ。」


ごめんなさいね、不器用な娘で
って瑠美さんは謝った。




優さん・・・・・俺、
逃げたりなんてしないよ。



優さんもマリンもカイトも・・・・



大切な俺の家族なんだよ?





俺が知らなかった優さんが
婚姻届を出さない理由。


俺は逃げたりしない。


だからやっぱり婚姻届
出さないとな!



俺は改めて婚姻届を出せるように
がんばろうと心に誓った。



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