『主夫』だって『恋』してますけど何か?
そんな和樹と出会ったのは
バーのバイト面接だった。
--------8年前・・・・・・・
俺のバーでずっと働いていた奴が
自分の店を出すからと突然辞めた。
「全く・・・・
どんだけ俺が一生懸命
バーテンダーとして育てて
きたと思ってんだあいつ。」
店を出す事は喜んでやるけど
直ぐに辞める事ないだろ。
小さくてもそれなりに繁盛
してる店で、突然頼りにしてた
奴が辞めてしまい俺は
猫の手でも借りたいくらいだった。
だからって適当に人を
選ぶなんて出来ない。
それなりに求人に食い付いてきた
奴は沢山いたけど、どいつも
こいつもチャラチャラした女に
モテたい奴らばかりで
途方に暮れていた。
カランカラン・・・・
「こんにちは!
面接に来た山本和樹です!」
面接の為に昼から開けた店に
元気な声が響く。
本日5人目。
その中では一番元気で
爽やかな挨拶だ。
ただ・・・・・
元気すぎだろ。
ここは居酒屋じゃない。
落ち着きある大人が
通うバーなんだ。
「君、お酒詳しい?」
「いいえ!
全然解りません!」
「・・・・・・・・・・・・・」
こいつ舐めてるのか?
ここバーだぞ?
ちゃんとバーテンダー募集って
書いてたよな俺!?
履歴書には21歳と書いてある。
でも、なんか胡散臭い。
顔立ちもあどけなさがちらつく。
「・・・・君本当に21歳?」
「・・・・・・・・はい!」
今、間があったな・・・・
笑顔も引き攣っている。
解りやすすぎだろ!!
間違いなく未成年だな。
・・・・却下。
バーテンダーはお酒の味を
知ってなんぼの世界なのだ。