『主夫』だって『恋』してますけど何か?


「あのさ君・・・・・」

未成年は無理だとさっさと断ろう。


「あの!!憧れてたんです!
大人の世界に・・・・
バーテンダーって
カッコイイっすよね!」

断ろうとした俺に
えくぼを作って最高に純粋な
笑顔を見せた山本和樹。



・・・・嫌いじゃないな、こういう
カッコつけない暑苦しい奴。



「俺も初めはそんな単純な
気持ちからバーを始めたよ」

つい笑ってそう返した。





その後の面接で、バーテンダーの
経験がある奴がいてそいつを雇った。


それから・・・・・・
ただなんとなく。


山本和樹を雇った。


皿洗いでもさせておこう。
そう思ったんだ。




------それから2年。


山本和樹は真面目に
仕事を続けていた。



一緒に雇ったバーテンダー経験が
あった奴は半年くらいで
店の女性客と共にいなくなった。



でも今は、立派に山本和樹が
バーテンダーをこなしているから
良しとしよう。



愛想がよいから客うけも上々。


皿洗いに掃除の手際のよさには
ずっとやってきた俺すら感動する。



あっでも一回こいつの
アパート行ったら無茶苦茶
部屋は汚かったけどな。





カランカラン・・・・

店のベルがなる。



「あぁ優ちゃん。いらっしゃい!」


店にいた客が一斉に視線を
送るくらい美人な女。


ここ半年くらいこのバーに
通ってくれてる常連客の
高松優ちゃん。



「あっ優さん!いらっしゃいませ♪」

裏にいた和樹が優ちゃんに気付いて
嬉しそうにカウンターに出て来た。


「こんばんは。
マスターいつもの下さい。」


「了解。」


「・・・・・/////」

わずかに微笑む彼女に、和樹は
頬を赤く染めて見とれている。



こいつ・・・・・
優ちゃんに完全にホレてんな。


まぁ、優ちゃんほど美人に
和樹は釣り合わないし、大丈夫だろ。



出会った時から解りやすい
和樹を横目に、客に手を出して
女に溺れて辞めていった奴らを
思い出したが、平凡な和樹は
大丈夫と安心していた。



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