あおぞらカルテ
高田蓮くん、3歳の男の子。

ネフローゼ症候群と診断されて、安静とステロイド治療中。

腎臓内科が得意な飯塚先生が主治医で、担当医は研修医の道重、その金魚のフンは医学部5年の佐藤くん。

佐藤くんは医大のサッカー部の後輩だけど、立場が変わればイライラの対象。

仕事と遊びは別なのだ。


「佐藤くん、蓮くんどこ行ったか知ってる?さっき一緒にいたじゃん?」

「いや…それが、見失ってしまって」

「見失った?どういうこと?今日検査だって言ったよね…」


とにかく子供はじっとしてない。

医学生と楽しく遊ばせていれば安心…なんて考えは甘かった。

大人なら全館放送をすれば患者さん自身がひょっこり現れる。

子供はそういうわけにはいかない。


「安静にしてって言ったんですけどねぇ~」


ぼやっと佐藤くんが言う。

あーイライラ。


「子供に“安静にしろ”って言って、ちゃんと聞くと思ってんの?しかも3歳!発達段階の勉強してきたでしょ?」


つい、キツい言い方。

ダメだって思ってるのに、当たっちゃうんだよね…。


「…いや、ゴメン。任せきりにしたオレも悪かった」


なんか空回りしてるんだよなぁ。
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