あおぞらカルテ
遊佐花怜ちゃん、15歳。

最近よく転ぶようになり、神経筋疾患の疑いで入院してきた。

今は中学3年で、本来なら受験真っ只中のはずだった。

本人には告げられていないけれど、病気の進行具合から、難治性の疾患の可能性が高い。


「花怜ちゃん調子どう?」

「…ふつうです」


とっつきにくい雰囲気は、思春期独特の距離感なのか。

病室に行ってもほとんど話もしない。


「勉強してんの?」

「まぁ…はい…」

「何が得意?」

「…別に得意なのとか、ないです」


花怜ちゃんはいつも一人だ。

一人で勉強したり、ゲームしたり、とにかく大人しい子という印象だ。


「もし受験とか心配なことがあれば、なんでも言ってくれたらいいよ?できるだけ協力するしさ」


花怜ちゃんは静かに言った。


「受験は心配といえば心配だけど、どうしようもないですよね。いいんです。来年に受験してもいいし…」


ちびっこ達と違って大人だな~。
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